輝きを失った鏡

高級クラブが集まる銀座並木通り周辺を真っ昼間に歩くと、太陽光によってあらわにされる雑居ビルの老朽化が痛々しいです。かつての銀座が持っていた豪華なイメージは失われつつあります。ここ10年ぐらいの間に多くのビルの建て替えは必至でしょう。

中でも目を引くのは、ほぼ廃墟と化したまま放置されている数軒のビル。一代で莫大な財を築きながら、ある事件で実刑判決を受けたオーナーさん所有のビルたちです。中にはいまだ残っているテナントも僅かにあり、きっと色々な権利問題や思惑や感情のもつれがあるのでしょう。

誰に磨かれることなく埃を被ったままの鏡。夜な夜な繰り広げられていた狐と狸の化かし合いを映し出していた鏡に、もう輝きはありません。壊れたまま修繕されることもなく、薄暗い廊下で昼間から灯り続けている古びたシャンデリアも印象的です。夢の跡。