T's Eye 東京散歩

東京在住独身男のたわいもない写真と独り言

石岡瑛子という才能

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東京都現代美術館、「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」。アートディレクター、デザイナー、石岡瑛子(1938〜2012)の回顧展に行きました。

1961年に資生堂に入社し広告を担当していた彼女が、退職後、パルコ、東急、角川書店などの広告キャンペーンを手掛けていきます。時代の波に見事に乗りながらセンスあるお洒落な広告を具現化していった彼女の遍歴、細かな校正をする彼女の直筆など、とても興味深く見させてもらいました。(撮影禁止です)

その後、海外に飛び出していった彼女は、フランシス・フォードコッポラ、ビョーク、グレイス・ジョーンズ、マイルス・デイヴィスなどの世界的著名人たちと仕事をこなしていきます。もうそれはファッションデザイナーの世界です。「ザ・セル」「落下の王国」「ドラキュラ」「白雪姫と鏡の女王」という映画作品で彼女が手掛けた、奇抜で、繊細で、豪華で、美しい色彩を放つ衣装はインパクト大です。正直いうと、私は映画としてどの作品もあまり高評価していないのですが、彼女が作り出した独特な世界だけは鮮明に覚えています。その強烈すぎるイメージは、映画全体として見たときにマイナスだったのではと思えてしまうほどでした。

その他にもシルク・ドゥ・ソレイユやオリンピックなどなど、彼女が携わった仕事はたくさんあるわけですが、約50年前に資生堂やパルコなどを手掛けていた初期の頃の彼女にもっとも興味が持てました。それぞれの世代で記憶に残る、カッコイイ広告の裏にある優れた感性。

自分の持つ才能をしっかり活かしながら、人生の舞台を生ききった石岡瑛子の凄さと羨ましさ。